債権の譲受け
1.住宅金融専門会社からの債権譲受け
1970年代に銀行、証券会社等の共同出資により設立された住宅金融専門会社(以下「住専」という。)の各社は、その名のとおり、住宅ローンの提供を主な目的として業務を開始しましたが、1980年代以降、金融機関の住宅ローンの融資拡大等により、住専の住宅ローンは伸び悩み、バブル経済が進行するなか、次第に不動産会社等への融資に傾斜していきました。
しかし、その後バブル経済が崩壊し、不動産業者等の経営が急速に悪化し、住専各社も巨額の不良債権を抱えることとなりました。この不良債権問題は、その額があまりに巨額であり、住専各社の借入先の金融機関経営に大きな影響を及ぼすことから、日本の金融システムの安定性を確保するため、1995年夏以降、政府、与党等において住専の処理策が検討され、同年12月、「住専問題の具体的な処理方策について」が閣議決定されました。
この閣議決定に基づき、1996年6月「特定住宅金融専門会社の債権債務の処理等に関する特別措置法」(以下「住専法」という。)が施行され、これに基づき、同年7月、住専の財産を譲り受けて債権回収等を行う「住宅金融債権管理機構」(以下「住管機構」という。)が設立され、住専7社から累計4兆6,558億円の債権等を譲り受けました。
2.破綻金融機関からの債権買取り
1985年以降、金融機関をとりまく環境が大きく変化する中で、経営不安に陥った金融機関については、救済金融機関による合併が行われてきましたが、バブル崩壊に伴い金融機関の不良債権問題が深刻になってきたなかで発生した東京協和信用組合・安全信用組合の破綻の際には、救済金融機関が現れませんでした。そのため、1995年1月、日本銀行及び民間金融機関が出資して株式会社東京共同銀行が設立され、同年3月、上記の2つの信用組合の事業を譲り受けました。
その後、大蔵省金融制度調査会答申「金融システム安定化のための諸施策」を受け、1996年6月に預金保険法が改正されました。この改正により、2001年3月31日までの時限措置として、米国で設立された整理信託公社(RTC)を参考に、破綻信用組合との合併により承継し、又は破綻信用組合から譲り受けた事業の整理を行い、並びに預金保険機構から委託を受けて買い取った資産の管理及び処分を行うこと(以下「整理回収業務」という。)を主たる目的とする1つの銀行と預金保険機構が整理回収業務に関する協定を締結し、その銀行(以下「協定銀行」という。)が整理回収業務を実施するという新たな制度が設けられました。
これを受け、1996年9月、東京共同銀行は整理回収銀行に改組され、預金保険機構と「整理回収業務に関する協定」等を締結し、協定銀行となりました。
その後、1998年10月に預金保険法及び住専法が改正され、「公正・透明な手法をもって不良債権の早期かつ効率的な回収に努め、投入される公的資金を最小化することを目的」として、住管機構と整理回収銀行を一体化した株式会社組織として整理回収機構を創設するための規定が設けられました。これを受け、両社は合併し、1999年4月、預金保険機構を一人株主とする「株式会社整理回収機構」が発足しました。
整理回収機構では、東京共同銀行時代も含め、金融機関の破綻処理に伴い、計175の破綻金融機関等から累計4兆7,572億円の債権等を譲り受けてきました。
3.健全金融機関等からの債権買取り
金融機能の安定と再生を図るため、1998年10月に成立した金融機能の再生のための緊急措置に関する法律(以下「金融再生法」という。)に、破綻金融機関からの資産買取りに加えて、健全金融機関からの資産の買取りに関する規定が設けられました。これを受け、預金保険機構からの委託に基づき、健全金融機関等から、累計3,557億円の債権等を譲り受けました。