整理回収機構の企業再生業務 The Resolution and Collection Corporation
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RCC 企業再生スキーム


制定 平成16年2月16日
改定 平成17年7月25日
株式会社 整理回収機構


はじめに

 株式会社整理回収機構(以下、「RCC」という。)は、旧住専債権の整理回収のために特定住宅金融専門会社の債権債務の処理の促進等に関する特別措置法(平成8年法律第93号)上の「債権処理会社」として設立された株式会社住宅金融債権管理機構と破綻金融機関の不良債権等の処理のために預金保険法(昭和46年法律第34号)上の「協定銀行」として設立された株式会社整理回収銀行が、平成11年4月1日に合併して誕生した商法上の株式会社であり、その株式は、預金保険機構がすべて保有している。
 したがって、RCCは、商法上の株式会社ではあるが、基本的に法律に基づく業務を処理するために設立された公的使命を帯びた会社である。
 その後、RCCの業務としては、金融機能の再生のための緊急措置に関する法律(平成10年法律第132号)(以下、「金融再生法」という。)第53条により、預金保険機構の委託による健全金融機関の不良債権処理の一層の推進のための健全金融機関からの不良債権の買取業務が付け加えられた。
 その後、平成13年6月26日に閣議決定された「今後の経済財政運営及び経済社会の構造改革に関する基本方針(骨太の方針)」において、「、、、緊急経済対策に沿って不良債権の最終処理を確実に実現するため、RCCの機能を抜本的に拡充することとする。その上で、目標期間である2〜3年以内に主要行が最終処理を行うことが困難な不良債権については、RCCに譲渡等するよう要請する。具体的には、まず、今国会で金融再生法が改正され、RCCによる資産買取りが3年間延長されたが、さらに、RCCに信託兼営を認め、信託方式による不良債権の引受けも可能とする等、RCCが幅広く金融機関の不良債権の引受けを行い得るよう、所要の措置を講ずる。また、RCCは、受け入れた債権について、債務者企業の再建可能性に応じ、厳正な回収に努める一方、再建すべき企業と認められる企業については、法的・私的再建手続等を活用し、その再生を図る。このため、例えば、企業再構築を図る組織の新設等、RCCの機能・組織の拡充を図る。、、、」とされ、RCCにおいて企業再生を推進することが政府から公式に要請された。
 更に、同年秋に開会された臨時国会で金融再生法が通常国会に引き続き改正され、健全金融機関からの預金保険機構・RCCによる不良債権の買取価格を時価とするとともに、特定整理回収協定に定める事項として、「、、、その際、特定協定銀行(RCC)は、当該資産に係る債務者の再生の可能性を早期に見極め、その可能性のある債務者については速やかな再生に努める、、、、」旨の規定が置かれ、RCCの業務として企業再生に関わる業務が法律上規定された(平成14年1月11日施行)。
 また、平成13年10月26日の経済対策閣僚会議において「改革先行プログラム(最終とりまとめ)」が決定され、その中で、「、、、本年11月1日にRCCに企業再生本部を設置し、再生の可能性のある債務者の速やかな再生に努めるなど、企業再建に積極的に取り組む。、、、」とされ、同プログラムを受けて、RCCにおける企業再生に取組む組織として企業再生本部(本部長 社長兼任)がRCCに設置された。
 更に、平成14年10月30日に金融庁から発表された「金融再生プログラム」において、「RCCの一層の活用と企業再生 」が謳われ、「、、、企業再生機能を強化するため、RCC内における企業再生部門の強化等を検討する。そのための人員確保や政策投資銀行、国際協力銀行などを活用した企業再生ファンドの拡充、企業再生のノウハウを有する商工中金等との連携強化などについては、積極的に対応する、、、」とされた。
 平成15年3月28日には、金融庁から、 「リレーションシップバンキングの機能強化に関するアクションプログラム −中小・地域金融機関の不良債権問題の解決に向けた中小企業金融の再生と持続可能性(サステナビリティー)の確保−」が発表され、その中で、中小・地域金融機関に対し、企業再生に関し、RCCを活用するように、「、、、中小企業の再生を支援するため、各金融機関に対し、「中小企業再生型信託スキーム」等RCCの信託機能を積極的に活用するよう要請する。なお、当該スキーム等の活用については、2.(3)の健全債権化に向けた取組みの一環として取扱うものとする。、、」との方針が示された。
 以上のように、RCCにおける企業再生は、法律又は政府の政策に沿って行われているものであり、その状況については、金融庁及び預金保険機構に適宜報告しているところである。
 本「RCC企業再生スキーム」は、RCCが、現在行っている企業再生の対象、手続、再生計画の要件等を取りまとめてRCCとして決定(取締役会決定)し、公表したものであり、RCCが今後行う企業再生も、「RCC企業再生スキーム」にしたがって行われることとなる。
 なお、平成17年度税制改正において、一定の要件を満たす私的整理に係る再生計画により債務免除を受ける場合には、債務者の有する一定の資産についての評価損及び評価益の計上、並びに青色欠損金等以外の欠損金を優先して損金に算入する税制措置が新たに講じられたことに鑑み、この一定要件を満たす手続き並びに評価基準を「RCC企業再生スキーム」に追加した。


1. 対象となる私的再生
(1) 「RCC企業再生スキーム」の対象となる「私的再生」は、RCCが主要債権者(再生対象債務者に対する金融機関債権者のうち、相対的に上位のシェアーを有すると認められる者)である再生可能な債務者について、会社更生法や民事再生法などの法的再生手法によらず、金融債権者間の合意の下で事業の再生を行わせることにより事業収益から最大限の回収を図ることを意図して行われるものであり、すべての「私的再生」を対象としない限定的なものである。
(2) このように、「RCC企業再生スキーム」にしたがって行われる「私的再生」は、債権者の立場にたって行われるものであるので、事業を清算した場合の回収額よりも当該事業を再生継続させた場合の回収額が債権者にとって上回ると見込まれる場合にのみ、すなわち債権者にとって経済合理性が認められる場合にのみ行われるものである。
(3) もちろん、このような「私的再生」を行うには、当該債務者自身の再生への意欲、自助努力が前提であり、また、債権者に債務の猶予や減免を求めるものである以上、経営責任及び株主責任の明確化が求められることはいうまでもないことである。

2. 「RCC企業再生スキーム」の性格
(1) 「RCC企業再生スキーム」は、平成13年6月26日に閣議決定された「今後の経済財政運営及び経済社会の構造改革に関する基本方針(骨太の方針)」や平成14年10月30日に金融庁から発表された「金融再生プログラム」等の累次の政府の経済財政金融対策、さらには、金融再生法により、RCCにおいて企業再生に積極的に取組むべきことが定められたことに伴い、公的な使命を担う機関として、RCCが債権者として取り組む債務処理としての企業再生案件の手続や依拠すべき基準等の準則をRCCとして定めたもの(今後、RCCの本文書以外の文書においては「RCC企業再生スキームT」と略称する。)である。
(2) 「私的再生」の性格上、債権者と債務者が共有した情報については、相互に厳正な守秘義務を負うものであるが、同時に、「私的再生」の過程における公正性、客観性、更には、関係者間の透明性、衡平性を確保するために、「RCC企業再生スキーム」を定めるものである。

3. 対象債務者となり得る企業
 次のすべての要件を備える企業であれば対象債務者になり得る。
(1) 過剰債務を主因として事業の継続が困難な状況に陥っており、自力による再生が困難であると認められること。
(2) 弁済について誠実であり、その財産状況を債権者に適正に開示していること。企業再生を行うのは、あくまでも債権者の利益を最大限確保するためであり、債務者が弁済に誠意がなく、財産状況も適正に開示していないようでは、債務者を信頼できず、債務者と当該事業や債務の再構築についてそもそも協議を進めることができないのである。
(3) 債務者の再生の対象となる事業自体に市場での継続価値があること。そもそも事業自体が、従業員や取引先の協力やリストラ等を見込んだ上で採算性がとれるようなものでなければいくら債務免除等を含む債務の再構築を行っても事業を継続していくことは不可能なので、企業再生を行うことは困難である。
(4) 債務者の事業の再生を行うことが、債権者としての経済合理性に合致していること。
会社である債権者は、その株主等との関係でその利益を最大限にするように行動しなければその責務を果たしていることにならないので、債権者として債務者の企業再生に応じるためには、清算型回収に比してより多くの回収が見込めること、すなわち、債権者としての経済合理性があることが必要となる。

(注) 対象債務者の再生適格要件の判定に当たっては、別紙1「再生適格要件のチェックリスト」を使用している。

4. 企業再生検討委員会
(1) 企業再生計画作成着手の可否及び企業再生計画の是非に関する判断の専門性及び客観性を確保するため、企業再生に関し専門的な知識や経験を有する外部の弁護士、公認会計士、税理士、不動産鑑定士、企業再生コンサルタント等からなる「企業再生検討委員会」を別に定めるところ(別紙2「企業再生検討委員会設置要綱」参照)によりRCCの企業再生本部長の諮問機関として設置する。
(2) 企業再生検討委員会は、前項「3.対象債務者となり得る企業」に係る再生計画等について、企業再生本部長の諮問により、「5.私的再生の開始」「7.再生計画案の内容」「8.再生計画の検証・提示・成立・実行」に関する事項を審議する。
(3) 企業再生本部長は、「企業再生検討委員会」の委員を委嘱したとき、又は委員の異動があった場合は、文書により、預金保険機構及び金融庁に速やかに報告する。
(4) なお、現在の企業再生検討委員会の委員は、別紙3「企業再生検討委員会委員名簿」の通りである。

5. 私的再生の開始
(1) 金融再生法第53条に基づき金融機関からRCCが買い取った債権に係る債務者のうち専門部局である企業再生部で再生に取り組むのが妥当であると判断された事案並びにその他のRCC保有債権等のうち、同部と業務推進部及び回収主管部店が定期的に協議を行って、債務者の再生可能性、規模、債務額、債権者数、RCCの債権シェアー等から判断して専門部局である企業再生部で再生に取り組むのが妥当であると判断された事案については、同部が所管して、債務者と交渉し、債務者の事業の状況を審査して、債務者が上述の企業再生の4要件を有しているかどうかを判断する。
(2) 企業再生部において企業再生に着手するのが妥当であると判断された事案については、債務者の財務指標や資産評定の信頼性を確認するため、監査法人等専門家によるデューデリジェンスを行わせる。更に、同部の判断の客観性を担保するため、企業再生本部長の諮問機関である「企業再生検討委員会」に企業再生計画作成着手の可否について判定を求める。
(3) 「企業再生検討委員会」において企業再生計画作成の着手が可と判定された事案については、債務者にその旨を伝達し、企業再生計画の原案の作成に着手させる。「企業再生検討委員会」において企業再生計画作成の着手が否と判定された事案については、通常の回収事案として、回収所管部店に移管する。

6. 一時停止の合意及び第1回債権者集会
(1) 「企業再生検討委員会」において企業再生計画作成の着手が可と判定された場合は、債務者及びRCCは、他の主要債権者の意向を確認した上で、速やかに第1回債権者集会を開催する。
(2) 第1回債権者集会においては、債務者及びRCCより、債務者の事業及び財務の状況並びに再生の可能性を説明し一時停止の合意を得るとともに、再生計画の合意に向けて債権者間調整を進めることの合意を得る。
(3) この場合の一時停止措置の内容は、債務者が当初の約定通りの弁済を行なっているケースは少ないため、「与信残高」の維持までは要請しないが、他の債権者との関係における債務者に対する相対的な地位の改善を行わないこと、追加担保の提供は受けないこと、担保権の実行や強制執行等は差し控えること等である。
(4) 第1回債権者集会は、一堂に会してあるいは持ち回りで行う。
(5) 一時停止の期間は、再生計画の合意が得られるまで、あるいは、再生計画の合意が得られる見通しがなくなったことを債務者及びRCCが他の債権者に通知するまでの期間である。

7. 再生計画案の内容
(1) RCCの関与する再生計画案は、次の内容を含むものでなければならない。
(i) 経営が困難になった原因
(ii) 事業再構築計画の具体的内容(業種・業態によっては、専門コンサルタント等の助言に基づくことを債務者にRCCより要請する。)
(iii) 将来の事業見通し(売上・原価・経費)(10年間程度)
(iv) 財務状況(資産・負債・損益)の将来の見通し(10年程度)
(v) 資本の再構築計画
(vi) 資金繰り見通し
(vii) 債務弁済計画(最長期15年)
(viii) 経営者責任のあり方
なお、RCCが債務者に提出を要請する主要な書類は、「別紙4 債務者に要請する提出書類の概要」の通りである。
(2) 実質的に債務超過である場合は、原則として再生計画成立後最初に到来する事業年度開始の日から3年以内を目途に実質的な債務超過を解消すること。
(3) 債務免除を含む財務状況の将来の見通しは、別紙5に定める「再生計画における『資産・負債の評価基準』」に基づく資産評定(当該資産評定は、公正な価額により行われていること)による価額を基礎として作成された実態貸借対照表に基づくものでなければならない(法人税法第25条第3項、第33条3項及び第59条第2項第3号の規定の適用を受ける場合に限る。)。
(4) 経常利益が赤字である場合は、原則として再生計画成立後最初に到来する事業年度開始の日から3年以内を目途に黒字に転換すること。
(5) 債務免除を受けるときは、支配株主の支配権を消滅させるとともに、減増資により既存株主の割合的地位を消滅させるか大幅に低下させる。
(6) 債務免除を受けるときは、経営者は原則として退任する。債権者やスポンサーの意向により引続き経営に参画する場合も私財の提供などけじめの措置を講じる。
(7) 再生計画案における権利関係の調整は、正当な理由のない限り債権者間で平等であることを旨とする。

8. 再生計画の検証・提示・成立・実行
(1) 債務者からRCCに再生計画の提出があった場合は、「RCC企業再生スキーム」に定める基準に合致する再生計画であるかどうかを検証し、必要に応じて債務者と調整する。更に、判断の客観性を担保するため、調整後の再生計画を「企業再生検討委員会」に付議し、同委員会の審議結果を踏まえて、所要の修正を行う。
(2) 債務者から、第2回債権者集会に先立ち、対象債権者(再生計画の成立時に、権利の変更が予定される債権者で、主要債権者を含む。)に(1)の手続に従って調整・修正した再生計画案を提示し、理解を得るために必要な説明を行う。必要に応じ、RCCからも債権者に対し、理解を得るための説明を行う。
(3) 第2回債権者集会では、再生計画案に対する質疑応答を行い、必要な意見調整を行う。
(4) 第2回債権者集会では、対象債権者が再生計画案に対し書面により同意不同意を表明する期限を定める。
(5) 対象債権者全員が同意を表明した場合は、再生計画は成立し、債務者は再生計画を実行する義務を負い、対象債権者の権利は再生計画の定めにしたがって変更される。
(6) 必要がある場合は、対象債権者の同意を得て、別に期日を定めて、第2回債権者集会を続行する。
(7) (4)又は(6)により定めた期日までに対象債権者全員の合意が得られない場合は、「RCC企業再生スキーム」に基づく私的再生手続は終了する。
(8) 債務者は、再生計画成立後、再生計画の定めにしたがって、その成立後に定期的に開催される債権者集会などにおいて、再生計画の実行状況等を対象債権者に報告しなければならない。
 RCCが主要債権者となる場合の債務者については、RCCを中心に、企業再生計画のモニタリングを行う。
 なお、モニタリングの結果を受け、債務者が弁済を履行できないなど再生計画に定められた事項を履行できない場合には、主要債権者であるRCCを中心に、対象債権者及び債務者は、再生計画の見直し又は法的再生等の申立について、協議を行い、適切な措置を講じるものとする。

9. 法人税法第25条第3項、第33条第3項及び第59条第2項第3号の適用等に関する確認手続
 平成17年度税制改正において、一定の要件を満たす私的整理に係る再生計画により債務免除を受ける場合には、債務者の有する一定の資産について評価損(法人税法第33条第3項)及び評価益(法人税法第25条第3項)の計上、並びに青色欠損金等以外の欠損金を優先して損金に算入(法人税法第59条第2項第3号)する税制措置が新たに講じられた。
 これに伴い、債務者が新税制の適用を受けるために、債務者からRCCに要請があった場合には、RCCは法人税法施行令第24条の2第2項第2号に規定する協定銀行として、対象債権者全員の合意が得られた再生計画に従って債務の免除(信託の受託者として行う債務の免除を含む)を行う場合の当該再生計画が、下記に掲げる要件を満たしているかどうかについて確認を行う。
(1) 本「RCC企業再生スキーム」に定められた一連の手続きに従って策定された再生計画であること。
(2) 別紙5に定められた「再生計画における『資産・負債の評価基準』」に基づく資産評定が行われ、当該資産評定による価額を基礎とした貸借対照表が作成されていること。また、当該資産評定は公正な価額により行われていること。
(3) (2)の貸借対照表における資産及び負債の価額、当該再生計画における損益の見込み等に基づいて債務者に対する債務免除をする金額が定められていること。

RCCが企業再生検討委員会の審議を経て確認を行った結果、上記のすべての要件を満たしていると認められるときは、RCCは別紙6に定める様式により、その旨の確認書を債務者に対して交付する。

10. 公表
 私的再生計画が成立した場合で、公表により再生に著しい支障が生じるおそれがないと認められるときは、これを公表する。


(注) RCCが再生計画の検証、金融債権者間の調整を受託した場合の取扱い
 主要債権者の一人である金融機関からRCCに対し金融債権者間の合意形成のために再生計画の検証、金融債権者間の調整等の委託があった場合、RCCは当該調整を受託する業務を行っているところであるが、RCCが当該調整を受託した場合は、当該金融機関の行う債務処理についても、RCCが自ら取り進める債務処理と同一の基準(「RCC企業再生スキーム」)を適用している。
なお、この場合、RCCが受託者となることに伴う「RCC企業再生スキーム」の5.及び6.についての技術的に必要な読み替え及び「RCC企業再生スキーム」に追加する事項は、それぞれ以下のとおりとする。
(本準則は、今後、RCCの本文書以外の文書においては「RCC企業再生スキームII」と略称する。)

5. 私的再生の開始
(1) RCCが主要債権者の一人である金融機関から金融債権者間の合意形成のための調整を委託された場合は、企業再生部において委託者と守秘義務協定を締結した上で債務者に関する情報の提供を受け、債務者の再生の可能性等について審査を行う。
(2) 企業再生部において企業再生に着手するのが妥当であると判断された事案については、債務者の財務指標や資産評定の信頼性を確認するため、監査法人等専門家によるデューデリジェンスを行わせる。更に、同部の判断の客観性を担保するため、企業再生本部長の諮問機関である「企業再生検討委員会」に企業再生計画作成着手の可否について判定を求める。
(3) 「企業再生検討委員会」において企業再生計画の着手が可と判定された事案については、委託者である主要債権者を通じて債務者にその旨を伝達し、企業再生計画の原案の作成に着手させる。「企業再生検討委員会」において企業再生計画作成の着手が否と判定された事案については、受託しないこととする。

6. 一時停止の合意及び第1回債権者集会
(1) 「企業再生検討委員会」において企業再生計画作成の着手が可と判定された場合は、委託債権者、債務者及びRCCは、他の主要債権者の意向を確認した上で、速やかに第1回債権者集会を開催する。
(2) 第1回債権者集会においては、債務者及びRCCより、債務者の事業及び財務の状況並びに再生の可能性を説明し一時停止の合意を得るとともに、再生計画の合意に向けて債権者間調整を進めることの合意を得る。
(3) この場合の一時停止措置の内容は、「与信残高」の維持、他の債権者との関係における債務者に対する相対的な地位の改善を行わないこと、追加担保の提供は受けないこと、担保権の実行や強制執行等は差し控えること等である。
(4) 第1回債権者集会は、一堂に会してあるいは持ち回りで行う。
(5) 一時停止の期間は、再生計画の合意が得られるまで、あるいは、再生計画の合意が得られる見通しがなくなったことを債務者及びRCCが他の債権者に通知するまでの期間である。

11. 金銭信託以外の金銭の信託設定
(1) RCCが主要債権者の一人である金融機関から金融債権者間の合意形成のための調整を委託された場合には、RCCは対象債権者が希望する場合には、再生計画合意後に、又は同意することを前提とした入札等による債権売却を可能とするため、投資家を募集して、RCCに金銭信託以外の金銭の信託(本信託契約により設定された資金を「RCC金外信託」という。)を設定させる。
(2) RCC金外信託は、投資家が再生計画の存在を前提に入札等により落札した債権を、信託の受託者として当該投資家のために購入し、管理し、再生計画の実行に必要な債務免除等を実施する。
(3) RCC金外信託に債権を売却した金融機関で、当該債務者との取引を再開したい者は、RCC金外信託が債務免除した後の残債権額相当額を当該債務者に融資し(リファイナンス)、当該債務者は当該融資金で債権を購入したRCC金外信託に弁済し、投資家はRCCに信託した資金を回収する。