 |
第1節 |
企業再生の要請 |
|
我が国経済は、バブル経済の崩壊に伴い、1990年代に入って以降、長期停滞が続いているが、政府・与党は、その抜本的な立て直し策として、経済の構造改革が不可欠との判断の下、金融機関の不良債権問題と企業の過剰債務問題の早期・迅速かつ一体的な解決を図るべく、多くの対策を講じており、RCCについては、不良債権の最終的処理を確実にするため、不良債権の幅広い引受け及び企業再生に対する積極的な取組みなど、機能・組織の抜本的な拡充が求められている。 |
(1) |
緊急経済対策 |
|
(イ) |
与党三党の緊急経済対策(平成13年3月9日) |
|
|
RCCによる健全銀行の不良債権買取業務の延長及び民間サービサーとしての機能の強化 |
|
(ロ) |
政府による緊急経済対策(平成13年4月6日) |
|
|
債権の流動化対策の1つとして、民間金融機関より不良債権を受託する信託業務等、RCCの機能の一層効果的な発揮を検討する。 |
(2) |
今後の経済財政運営及び経済社会の構造改革に関する基本方針(「骨太の方針」)(平成13年6月26日) |
|
|
(イ) |
目標期間である2〜3年以内に主要行が最終処理を行うことが困難な不良債権については、RCCに譲渡するよう要請する。 |
|
|
(ロ) |
RCCの信託兼営を認める。 |
|
|
(ハ) |
厳正な回収に努める一方、再建すべき企業と認められる企業については、法的・私的再建手続等を活用し、その再生を図る。そのため、RCCの機能・組織の拡充を図る。 |
|
|
(ニ) |
米国のRTCの例も参考に、不良債権や不動産の証券化を積極的に進める。 |
(3) |
改革先行プログラム(平成13年10月26日) |
|
上記諸施策について、経済財政諮問会議では、構造改革全体の手順を示した改革工程表と、その中で優先的に実施する施策を「改革先行プログラム」として取りまとめている。 |
|
|
(イ) |
預金保険機構・RCCは、不良債権の買取りについて、価格決定方式を弾力化(時価による買取り)の上、15年度末までに集中的に実施する。 |
|
|
(ロ) |
預金保険機構・RCCは、買い取った不良債権の処分方法の多様化に努め、経済情勢、債務者の状況等を考慮し、当該資産の買取りから可能な限り3年を目途として早期処理を行うよう努める。 |
|
|
(ハ) |
本年11月1日にRCCに企業再生本部を設置し、再生の可能性のある債務者の速やかな再生に努めるなど、企業再生に積極的に取り組む。 |
|
|
(ニ) |
RCCによる企業再建を円滑化するため、再建中の所要資金について日本政策投資銀行等の活用を図る。 |
|
|
(ホ) |
日本政策投資銀行、民間投資家、RCC等に対し、企業再建のためのファンドを設立し、またこれに参加するよう要請する。ファンドは、厳格な再建計画が策定された企業の株式等を買い取り、再建計画の実現を図る。 |
|
|
(ヘ) |
RCCに対し、これらの新たな枠組みも活用して、大企業はもちろん、中小企業の再建にも積極的に取り組むよう要請する。 |
|
第2節 |
RCCによる企業再生への取組み |
(1) |
過剰債務によって経営に行き詰まり、自ら事業を再建することは困難となった企業を整理する方法としては、企業そのものを解体清算し、全ての資産を処分換価して債務の弁済にあてる方法と、再建計画を作成し、債権者の協力を得て企業再生を図る方法が考えられるが、債権者としては、当該企業の事業を清算した場合の価値と継続させた場合の価値を評価し、債権者にとっていずれが経済的合理性を有するか見極めたうえで、対応を決めていくことになる。 |
(2) |
RCCにおいても、企業再生を含む様々な手法を用いて債権回収を行っているが、これまでRCCが取り扱ってきた住専各社及び破綻金融機関から譲り受けた債権等については、企業再生による債権回収に適した事案はそれほど多くなかった。 |
(3) |
しかしながら、上述したとおり、金融機関の不良債権問題と企業の過剰債務問題の早期・迅速かつ一体的な解決を図るという政府の方針の下、RCCについては、金融機関の有する不良債権の幅広い引受け、企業再生に対する積極的な取組みなどが強く求められるようになった。
従って、RCCとしては、これらの要請に応えるため、引受債権の質的・量的変化を踏まえたうえで、これまで以上に企業再生による債権回収に積極的に取り組む必要がある。 |