対外発表 The Resolution and Collection Corporation
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 株式会社整理回収機構(以下、「RCC」という。)が扱う企業再生型案件について、その判定から再生計画の実施までの法律、会計、財務、税務等の専門的諸問題を検討・研究することを目的として、平成13年8月30日に、企業再生研究会(以下、「当研究会」という。)が、RCC社長の諮問機関として発足した。当研究会は、弁護士、公認会計士、企業再生アドバイザー等の実務経験を有する専門家に預金保険機構及びRCCの役職員を加えて組織された。

 企業再生とは、破綻しまたは破綻の危機に直面した企業(以下、「破綻等企業」という。)がそこから立ち直り、企業活動の再生を図ることである。破綻等企業の中には、不良債権の弁済に窮してはいるが、本業の業務においては、営業利益を挙げられるものがある。そうした企業については、企業再生により、企業としての有機的一体性を保持してその社会経済的機能をより有益に活用することが期待できるであろう。

 他面、破綻等企業の債権者としての立場からみれば、企業再生は、破綻等企業が業務活動を継続をしながら、主としてその業務からの収益をもって債権の回収を図るものである。この意味で、企業再生は、債権回収の手法の一つである。RCCは、これまでも、債権回収業務において、債務者財産の処分による清算代金からの回収を主眼としつつ、企業再生による回収にも取り組んできた。

 しかし、近時、RCCを取り巻く社会経済環境の変化は、企業再生を、回収におけるより重要な手法として位置づけて積極的な活用を図るべきことをRCCに要請することとなった。いわゆる「骨太の方針」(平成13年6月26日)では、「厳正な回収に努める一方、再建すべき企業と認められる企業については、法的・私的再建手続等を活用し、その再生を図る。」とされ、「改革先行プログラム」(平成13年10月26日)でも、「RCCに企業再生本部を設置し、再生の可能性のある債務者の速やかな再生に努めるなど、企業再生に積極的に取り組む。」とされたのは、この社会経済環境の変化の重要性を示すものである。

 こうした要請を受けて、当研究会は、RCCによる企業再生案件の処理を念頭に置き主として個別企業の再生に関する一般的な手法の検討をその課題とすることとした。そこでの検討は、RCCの回収現場が個々の再生案件を扱う際に勘案すべき問題とともに企業再生に活用され得るさまざまな法的財務的手法の開発をも対象とするものであり、個別企業の再生実務をほぼ全般にわたってカバーするだけでなくその将来をも展望するものである。これまで、12回にわたり会合を開催し、債権回収業務における企業再生の位置付け、RCCにおける企業再生事例の検討、企業再生ファンドの活用、DIPファイナンスの日米比較、再生計画の基本条件、私的整理におけるDIP型ファイナンス、RCCにおける企業再生と金融支援に関する事例の検討、債務免除とその税務、債権の株式転換とその税務、再生計画策定マニュアルの基本事項、企業再生検討委員会の設置基準等多岐の論点について討議を行った。

 本報告書は、研究会におけるこれまで行われた上記討議に基づき、RCCによる企業再生案件の実務的処理における「基本的な考え方」を中心に取りまとめたものであり、平成13年12月11日開催された研究会において、RCC社長へ答申された。

 本報告書を含め、これまでの当研究会の研究成果が、RCCにおける企業再生に関する取組みにおいて大いに活用され、寄与することを心から念願するものである。