対外発表 The Resolution and Collection Corporation
ホームへメニューへ戻る次へ



平成12年11月29日
叶ョ理回収機構
東日本関与者責任追及弁護団

1. 関与者責任追及の目的・経緯
 バブル経済崩壊を契機に住宅金融専門会社7社が破綻し、住専法による破綻処理が行われることになった。金融システム維持のため民間会社に過ぎない住専の破綻処理に6,850億円もの公的資金が投入されたことから、当該破綻処理を担う当社の前身である鰹Z宅金融債権管理機構は国民の負託を受け、住専破綻に関与した者の責任(旧役員の経営者責任、銀行の紹介責任)について徹底的に追及する責務を担うこととなった。

2. 経営者責任追及の基本的考え方
  (1) 責任追及対象者の選定基準
 責任追及の対象者としては、代表取締役あるいは経営トップに限定すべきとの意見もあったが、原則として常務以上の任にあった役員について責任を追及する方針とした。
 これは、高額融資案件については、ほとんどの住専が事実上常務会(名称は「融資常務会」「投融資会議」等)に決裁権限を付与していたことを最大の根拠とする。
 なお、事実上融資決裁に関与しない役員や幹部職員についても、背任横領等の悪質事案に関与していれば追及対象とした。

  (2) 和解基準
 経営責任追及に関しては、まず交渉を行い、可及的に提訴前の和解解決を目指す方針とし、交渉にあたっては、具体的な融資案件を特定し、その融資の違法性の根拠を指摘して行うこととした。
 また、交渉の妥結における和解金額は、法的責任に基づく和解金としてふさわしい額であることを要する一方、支払い可能な現実的な額でなければならず、債務不履行に基づく損害賠償請求交渉でありながら、莫大な損害実額を基準とするのでなく、当該役員の各会社からの実益を返還する基準を設定した。

3. 関与者責任追及弁護団の活動と交渉結果
  平成9年5月、住管機構内に住専関与者責任追及弁護団を設置。
問題案件の抽出・点検作業を行い、責任追及の対象とすべき53名をリストアップし、順次交渉を実施した。

  平成12年10月、当初リストアップした53名のうち、最後の対象者を提訴。

  なお、本年に入って、最終決着に向けて他に責任追及すべき対象者がいないか精査したところ、1名につき責任追及すべきと判断し、交渉の結果、和解合意に至ったものである。

  以上の交渉の結果は、次のとおりである。

【対象とした54名の内訳】
 提訴 … 7名(4件) 請求総額45億円
 和解合意 … 36名 合計4億9,410万円
 提訴・和解せず … 11名
-日本住宅金融
 ・庭山慶一郎(元社長)を含む3名と和解成立(合計1億3,600万円)
 ・高橋忠吉(元専務)に対して3億円の提訴
-住宅ローンサービス
 ・死亡した元社長を含む11名と和解成立(合計8,450万円)
-住総
 ・新谷正(元社長)を含む4名と和解成立(連帯して5,600万円)
-総合住金
 ・元代表取締役会長及び死亡した元社長を含む6名と和解成立(合計3,650万円)
 ・石川清(元専務)に対して3億円の提訴
-第一住宅金融
 ・藤尾修(元社長)を含む6名と和解成立(合計1億円)
 ・安保徹之(元副社長)に対して3億円の提訴
-地銀生保住宅ローン
 ・大田満男(元社長)を含む6名と和解成立(合計8,110万円)
-日本ハウジングローン
 ・河原昇(元社長)を含む4名に対して、総額約36億円の提訴

4. 総括
 本交渉及び和解を通じて、大多数の住専役員の責任を明らかにし、相応の責任追及の実をあげ得たものであり、今後の金融機関経営者におけるモラルハザードの抑止、ひいては、健全な金融システムの構築にも資するものと考える。
 今後は、現在係属中の提訴案件で明快な有責の判決を獲得することが課題であり、和解と判決の両面の成果によって、金融機関の破綻に伴う経営責任追及の先例を明確なかたちで示すことに全力を尽くす所存である。
以 上