対外発表 The Resolution and Collection Corporation
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平成13年1月26日
株式会社整理回収機構
代表取締役社長 鬼追 明夫

 第19回定例記者懇話会(平成12年12月22日)において、平成10年3月に債務者甲社から回収を行った事案(以下本件という)について「不適切回収」とのご報告・お詫びを致しましたが、その後の事実調査の結果、以下のとおりの問題点が判明致しましたので、ここに重ねて深くお詫び申し上げる次第です。
 当社では、今後このようなことを二度と起さぬよう、再発防止に万全を尽くす所存です。

第1. 前回記者懇話会以降新たに判明した問題点
「事案の概要」について
1. 両土地を43億円で売買する事実上の合意を開示しなかった点
  (1)  平成9年12月15日、ゼネコン3社JVが本件土地を43億円で購入する旨の意思表示を確認した頃から、本件土地が「総額43億円」で売買予定であることを前提に、甲社に対して、回収極大化に向けた交渉を行ないました。
  (2)  ところが、12月18日、甲社より乙・丙社に対し本件土地売買について説明した際、土地@については26億円、土地Aについては約7億円と推定させる事柄に言及したことから、乙・丙社は両土地合計で33億円と認識するに至ったにもかかわらず、同道した当社側はこれを訂正しませんでした。
  (3)  その後、12月25日に買い手である丁社が単独で甲社宛てに43億円で購入する旨の「土地買付申入書」を提出したことから、甲・丁社並びに当社との間では両土地を合計43億円で売買することが事実上合意されました。
 しかしながら、当社担当弁護士及び職員は「土地Aについては乙・丙社は無権利者である」として乙・丙社に対しては土地Aの評価額を開示しないという方針で交渉に臨んでおり、この方針に沿って、平成10年1月9日、会社として初めて回収方針が議論され、土地@を26億円、土地Aを17億円と配分し当社の回収極大化を図る方針が決まりました。
 なお、この時、乙・丙社が前記(2)の誤信をしている可能性があることについては報告されておりません。
  (4)  以上の経緯から、同年1月13日及び14日に乙・丙社は「総額33億円、うち土地@については26億円」であるものと誤信されたまま、担保権抹消同意書を甲社に提出されました。

 昨年12月22日の記者懇話会では、乙・丙社に総額が43億円であること、土地Aを17億円と評価することについてお伝えしなかったことが契約関係者間の信義上不適切であったとのご報告をしました。
 しかし、その後の事実解明の結果、重要な事実を開示しなかったばかりか、乙・丙社が総額33億円(土地@26億円、土地A7億円)と誤信していることを知りながら、回収の極大化を図るあまり、誤信の原因となった甲社の説明を正そうとしなかった疑いがあることが明らかになりました。
 このことが今回の一連の不誠実で不適切な回収の根本原因と認識しており、大前提として守られるべき手続きの公正性・妥当性の観点から問題があり、深くお詫びする次第です。

2. 乙・丙社に対して構築物の売買を開示しなかったこと
  (1)  平成10年2月24日、国土利用計画法に定める届出に対して大阪府から土地@土地Aの評価額が著しく不均衡であるとの事実上の勧告を受け、両土地を「土地@26億円、土地A17億円で別個に売買」するスキームが不可能となりました。この時点で乙・丙社に総額43億円であることをきちんとお伝えすれば一括43億円で売買することは可能であったと思われるにもかかわらず、目標の回収額に固執する余りこれを行いませんでした。
  (2)  この頃から、土地の価格を10億円下げて、代わりに本件土地上の構築物について、甲社と丁社間で10億円で売買契約を締結する提案が甲社よりなされ、当社担当弁護士・職員も提案に同調していきました。
 しかしながら、買戻し期限が切迫する3月も押し詰まった頃には、そもそも建築の障害とすらなる構築物を10億円と評価するのは無理な話であり、丁社からは「金額の査定に2ヵ月はかかる」といわれていたことからこの取引には疑問を抱きました。この時点で当社から「土地@土地Aを一体で43億円で売買しよう」との提案を行いましたが、社内手続上の理由により丁社に拒まれ、買戻期限の切迫に急かされる中、土地一括43億円での売買を断念しました。 
 土地取引を完遂させねば全てが水の泡となり、その場合は乙・丙社に約束した担保抹消料さえも実現しなくなるという状況の中、この構築物取引10億円を「半ば断念」し、「回収額を減少せざるを得ない」と認識しつつ、土地取引を優先させることとし、甲社と丁社との間に同年3月30日に合計33億円(土地@につき26億円、土地Aにつき7億円の評価割合)の売買契約が締結されるに至りました。

 以上の経緯から、乙・丙社が、当社が構築物の名目で別途10億円を回収したのではとの疑念を持たれるのはやむをえないところであり、当社の当時の対応の不適切さを重ねてお詫びします。

3. 保有税相当額の回収をめぐる不適切な対応について
  (1)  当時甲社は100億円を超える国税・地方税の滞納があり、当社は甲社の保有税の負担能力を疑問視していました。したがって、平成9年暮頃、甲社からは「仮に保有税が課税される場合には、本件土地売却代金とは別の資金で甲社が支払う」旨の話が何度かありましたが、土地売却代金により支払われる可能性もあり、この土地売買をめぐる回収の極大化を目指す当社にとって保有税が免除されるか否かは重要な問題でした。
 保有税が免除されるためには、甲社と買い手との共同事業により公共の用に供する建物が建築されることが必要であり、その前提として実現性の乏しいホテル建設以外の公共施設への用途指定変更並びに権利処分に関わる承認を大阪府から取付けることが必須でしたので、当社は平成9年6月以来全力を挙げて、この交渉の側面協力に取り組んでいました。
  (2)  平成10年1月9日、保有税免除の条件は未だ一つもクリアしておらず、甲社の負担能力に疑問があったことから本件土地売却代金の中から支払われる可能性が高いと判断される状況のもと、当社は、「その免除に向けて最大限努力するので保有税相当額については課税の有無に関わらず当社の回収とさせて欲しい」と乙・丙社に申入れたところ、両社はこれに同意されました。
  (3)  ところが、この時、乙・丙社に対して甲社から自社負担するとの話があったことをお伝えしておらず、「そもそも甲社が負担するという裏約束があったのでは」と乙・丙社に不信を抱かせ、さらにその後の事後処理報告も行いませんでした。
 この点についても、当社の対応は不誠実かつ不適切なものであったと考えます。

4. 諸経費相当額1億2600万円について
 固定資産税等諸経費1億2600万円については、この当時甲社の資金繰りが逼迫しており、当社が一旦預かった上で甲社に返還する約定となっていたことは事実であり、このことについては乙・丙社の了解を得ていました。
 ところが、売買契約締結後、甲社社長が逮捕されるに至り、当社としては甲社の存続の危機と認識し、通告の上、売買代金の残金決済時に回収してしまったものです。
 しかし、これは土地@の代金から発生した経費であり、乙・丙社で分配すべきであったにもかかわらず、当社の回収に充てたものであり、当社の当時の対応は極めて問題がありました。

第2. 本件に関わる責任について
(1) 関係者の責任の取り方
(2) 乙・丙社に対する責任の取り方

第3. 社長コメント
 担当弁護士・職員はいずれも、国民の負担を最小化するという使命感から回収の極大化を目指し、難案件の処理に当たったものであるが、回収の極大化を目指すあまり重要な事実を開示しないまま回収に走り、関係債権者に対して、その信頼を損ねる背信的な行為があったことをお詫び申し上げます。また、本件により国民の皆さんの当社に対する信用・信頼を損なったことは誠に遺憾であります。
  ここに改めて深くお詫び申し上げる次第です。
  当社としては、かかる事態を厳粛に受け止め、引続き国民の負託に応え国民負担の最小化に寄与するという使命を遂行する上で、二度と再び同じ過ちを犯さぬよう、全役職員が社会の規範・ルールを守り適切・妥当な業務遂行に努める健全な組織風土を醸成・確立するようこれまで以上に回収理念・指針の徹底に取り組むとともに、内部管理体制の整備(決裁権限の見直し、社内相談体制、業務監査体制等)に取り組み、不断にコンプライアンス態勢の構築とコンプライアンスに関するマインド、センス、アクションの強化に努めるなど、再発防止に万全を尽くして参る所存であります。

以 上