【法人税基本通達9−4−2に係る検討】 |
I |
損失負担の必要性 |
|
1. |
対象債務者は事業関連性のある「子会社等」に該当するか |
企業再生計画に基づき債権放棄を行う者は、企業再生計画の対象となる債務者の債権者である金融機関等のうち企業再生計画に基づく対象債務者の事業の再生のために協力を求める必要があると認められるもので企業再生計画に合意した者である(「RCC企業再生スキーム」8参照)。
したがって、債権放棄を受ける対象債務者は、当該債権放棄を行う者と「資金関係等において事業関連性を有する者」に該当し、「子会社等」に該当する。
|
|
2. |
子会社等は自力では経営再建は果たせないのか |
企業再生計画に基づき債権放棄を受ける対象債務者は、「RCC企業再生スキーム」3(1)から(4)に定めるように、過大な債務を負っている債務者であって、過大な債務を主因として自力のみによる経営の再建が困難な状況にあることが要件とされている。この点については、「RCC企業再生スキーム」5(1)又は5(2)に定めるように、企業再生検討委員会の審査を経て再生計画案作成着手の可否が決定されており、「RCC企業再生スキーム」における対象債務者は、倒産を防止するため、債権者である関係金融機関等と協力して事業の再生を図らなければならない者であると言える。 |
|
3. |
債権放棄を行う者にとって損失負担を行う相当な理由はあるか |
債権者は、「RCC企業再生スキーム」1(2)及び3(4)に定めるように、当該債務者につき清算型の回収を行う場合よりもより多額の回収が見込まれるときに債権放棄を行うのである。したがって、企業再生計画に沿って行われる債権放棄には損失負担を行う相当な理由があると言える。 |
|
II |
企業再生計画の合理性 |
|
1. |
損失負担額の合理性 |
企業再生計画は、利害の対立する複数の債権者が自己の債権の回収の極大化を図る手段として合意、実行するものであり、元々、過剰支援が発生する余地は少ないが、「RCC企業再生スキーム」にしたがって行われる企業再生は、「RCC企業再生スキーム」5(1)(i)及び(ii)並びに5(2)(i)及び(ii)に定めるように、必要に応じて監査法人等によるデューデリジェンスを行わせ、財務状況を適切に把握した上で行われるものであり、その妥当性については、弁護士、公認会計士、税理士、企業再生コンサルタント等の専門家からなるRCC企業再生本部長の諮問機関である企業再生検討委員会によって審議、検討され、また、債務者自身が再生のために自助努力することも明記(「RCC企業再生スキーム」1(3))されており、更に、「RCC企業再生スキーム」1(1)に定めるように最大限の回収を図ることを意図して行われるものであることから、過剰支援とならないよう損失負担額の合理性は十分検証されるものとなっている。 |
|
2. |
再建管理等の有無 |
債権者及び債務者間で合意された企業再生計画の進捗状況は、RCCを含む多数の債権者の監視下に置かれることとなる。
この場合において、RCCは、「RCC企業再生スキーム」8(8)に定めるように、モニタリングを行い、モニタリングの結果を受け、債務者が弁済を履行できないなど再生計画に定められた事項を履行できない場合には、主要債権者であるRCC又は主要債権者である金融債権者を中心に対象債権者及び債務者は、再生計画の見直し又は法的再生の申立について、協議を行い、適切な措置を講じることとしており、適正な再建管理等がされるものとなっている。
|
|
3. |
支援者の範囲の相当性 |
「RCC企業再生スキーム」の対象となる過剰債務企業は事業を継続しながら私的再生を目指す者であるので、支援者は、「RCC企業再生スキーム」1(1)に定めるように基本的には金融債権者が対象となっており、また、再生計画の成立には「RCC企業再生スキーム」8(7)に定めるように金融債権者全員の合意が前提になっているので、支援者の範囲には相当性がある。 |
|
4. |
負担割合の合理性 |
基本的には、「RCC企業再生スキーム」7(6)に定めるように債権者平等の原則により債権残高に応じて負担割合を決定するが、事案の内容に応じて合理的な調整まで排除するものではない。
しかしながら、合理的な調整を行う場合であっても、その負担割合については、関与度合い等を考慮した調整を行い、この調整内容につき対象債権者全員に説明の上、これに合意を受けるものであることから、負担割合についても合理性が担保されている。
|