| Ⅲ. |
委員からの発言 |
| RCCから今回のテーマ（「回収関連業務」）について説明した後に､以下のような意見や質疑応答があった。 |
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| ● |
関与者責任追及業務について |
| （1） |
役員の責任追及について |
| （委員） |
経営責任の追及に関して教えていただきたいのだが、当時の金融機関の融資に関する基準はどうなっていたのか。例えば、役員の善管注意義務についてどの程度の基準があったのか？ |
| （RCC） |
金融機関はそれぞれ社内に審査部門を有しているが、破綻金融機関では、この審査機能が働かず極めて杜撰であったということである。例えば、審査部門が消極意見としていた融資案件をトップダウンにより融資実行してしまったケースがあるが、これは結局社内の審査機能が機能していなかったということである。善管注意義務違反として経営責任を追及している事例として、主力金融機関が融資先に対して借入金の返済資金を追加融資（一般的に「追い貸し」と言われている。）しているケースで、当社としては、回収の見込みのないまま融資実行しており、善管注意義務違反として責任追及しているが、金融機関側は、融資先であるノンバンクは融資が実行されなければ破綻は免れず、そうなった場合、主力金融機関の信用自体も毀損し、市場での資金調達が困難となり、主力金融機関が不利益を被る懸念があったと主張している。この訴訟では、地裁段階では、経営者側の抗弁が認められたが、高裁段階では回収可能性の無い融資は許されず、こうした融資が認められるのは、融資を行なわなかった場合を上回る利益が得られるという例外的場合に限られるとし、本件融資は善管注意義務違反に該当するとの判決を下している。 |
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| （委員） |
銀行系ノンバンクへの融資について、回収可能性が無いにも拘らず融資せざるを得なかったという主力行の抗弁の理由として、当該ノンバンクの倒産が与える他の協調融資金融機関へ影響が多大であり金融システム全体へ影響を及ぼしかねないとして、信用秩序維持のために致し方なかったという主張が地裁において認められた例があるということであるが、そもそも、銀行が融資を行なうに当たり、社会全体への影響という面まで勘案した善管注意義務の判断をしているのであろうか。 |
| （RCC） |
当該事例は、倒産が地域における中小金融機関の経営に与える影響が大きく、地域経済に与える影響が大きいという例外的な例として認められたケースである。通常、信用秩序維持や地域経済への影響という問題は原則として融資の判断要素とはならない。高裁では認められているケースは無い。 |
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| （委員） |
経営者に対する責任追及を行なうに当たり、最終的に和解しているケースが多いが、和解に関して資産保全は行なわれているのか。 |
| （RCC） |
原則として、預金保険機構において提訴前に経営者の資産調査を実施し、ここで判明した資産に仮差押を行なうことにより資産の保全を図っている｡ |
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| （RCC） |
経営責任追及訴訟において、経営者に対する請求額をいくらにすべきかという問題が悩ましい。回収可能性のある金額を請求額とするのか、それとも融資額全額を請求額とするべきか、国民への説明責任を果たすことができるのはいったいどちらなのかという問題である。融資額全額を請求金額とするとなれば訴訟の印紙代だけでも相当な額となる。こうした場合の請求額をどのように考えるべきか、委員の皆様の意見をお伺いしたい。 |
| （委員） |
耐震偽装で問題となっているマンション業者に対する申立の例を見ると回収不能と見込まれても全額を請求している様であるが、整理回収機構においては印紙代のことを考えれば、現実的な判断をすべきと思われる。当初は一部請求とし、万が一資産が発見された場合、請求を拡張していくという方法をとるべきではないか。 |
| （RCC） |
融資額が４００億円というある銀行のケースでは、この融資に当たって重大な責任がある人物に対する請求額は２０～３０億円とせざるを得なかった。資産が無いからといって回収可能性のある２億円という少額の請求では、地域住民の感情を考えた場合、納得が得られないというケースもある｡ |
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| （RCC） |
平成7年12月19日付の住専問題の処理に関する与党三党合意における「…どんなに少額の債権であろうとも、回収は厳格かつ容赦なく行なうべきであり、…」という基本的姿勢は、現在の環境下においても妥当と言い切れるのかどうかについて、委員の皆様はどう思われるか？ |
| （委員） |
（当時の政党間の合意は）世間的な目を気にしているということなのであろうが、法律的判断に基き合理的判断を行ない、現実の回収可能性を追求するということで良いのではないか。 |
| （RCC） |
相手側の負担能力の範囲で処理していくということで経費を節約して、合理的に処理しているのだということを、国民に対してきちんと説明していかなければならないということであるが、この説明責任を果たすのはなかなか難しい。 |
| （委員） |
非常に難しい問題であるが、割り切らなくてはいけないのではないか。 |
| （委員） |
やはりどうして一部請求なのかというところはしっかりと説明責任を果たさなければならないのではないかと思う。 |
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| （2） |
役員以外への追及について |
| （委員） |
監査法人に対する責任追及は実際に行なっているのか。行なっているとすれば具体的にはどういうケースなのか。監査法人は個別の融資案件の判断には関与はしないはずだが、監査法人に対してどういった責任を追及しているのか？ |
| （RCC） |
監査法人に対しては、（粉飾）決算及び違法配当の承認について責任追及を行なっている｡ |
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| （3） |
融資紹介者責任追及について |
| （委員） |
銀行に対する融資紹介者責任の追及について、最終的に和解で決着した理由・背景について、もう少し詳しく教えて欲しい。訴訟を継続しても勝訴の可能性が低いという判断に基づき、和解に移行したということなのか。 |
| （RCC） |
当時、裁判は膠着状態となっており非常に厳しい状況にあった。内容的にもこれまでにない全く新しいジャンルであり、当社としても相当の人員を投入したものの、勝訴判決を得られるかどうかの予想が全くつかない状況にあった。こうした状況下、当時の相手銀行側のトップの判断により、和解による決着が図れる見通しがつき、和解に応じたものである。このケースで訴訟上の和解による決着という先例ができたことから、金融機関に対する紹介者責任追及訴訟において、和解による決着という一つの流れができ、その後、その他の金融機関についても次々と和解・調停等での決着を図ることができたものである。 |
