対外発表 The Resolution and Collection Corporation
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RCCの機能を活用した企業再生案件への取組みについて

平成15年5月1日
株式会社 整理回収機構
代表取締役社長 鬼追 明夫

 整理回収機構(RCC)では、新たに拡充された各種の機能を活用するなどにより、企業再生に取り組んでいるところですが、今般各金融機関との間で進めているスキームの一部についてお知らせいたします。

1. 企業再編ファンド<新スキーム>について
 RCCでは、一昨年11月に企業再生本部を設置するなどにより、各種の企業再生に積極的に取り組んでまいりました。そのなかで昨年8月には、UFJ銀行等の保有する再生可能性のある債権を、メリルリンチグループと組んで再生を図る「企業再編ファンド」第一号を立ち上げ、今年3月までに3つのグループの再生を実施しました。
 その後、企業再生案件の増加に対応すべく、汎用性のある以下の新スキームを策定し、現在主要行と具体的な詰めを進めています。

1) スキームの概要【別紙参照
(1) 金融機関からRCCに対する再生案件の検討依頼に基づいて、業務委託契約を締結。
(2) RCCは、当該企業の再生計画の検証等を実施したうえで、他の債権者金融機関の利害調整等を行い、各金融機関の合意を取り付ける。
(3) 合意した各金融機関とRCCとの間で入札管理委託契約を締結。RCCは、当該案件に適していると考えられる複数の投資家を選定し、厳格な守秘義務契約のもとで情報開示を行い、入札を実施する。
(4) RCCは、落札した投資家との間で金銭信託以外の金銭の信託(企業再編ファンド型金外信託)契約を締結し、買取り資金を受託する。
(5) RCCは、金融機関との間で債権売買契約書を締結し、投資家から受託した資金で債権を買取り、再生計画に従って債権放棄等必要な措置の実施やリストラ計画の実行を管理する。
(6) 金融機関は、当該企業の再生可能性を確認することで、必要に応じてリファイナンスを行うなどによって当該企業を再生して通常取引に戻る。

2) スキームの意義
企業再生に、RCCが公正・中立の立場で関与することによって、計画の客観性が確保でき、債権者金融機関相互の利害調整が行いやすい。
民間の投資家の資金を活用して入札を実施することで、金融機関にとっては、価格の妥当性が確保でき、また、投資家との橋渡しがスムーズに行える。


2. 『リレーションシップバンキング』対応について
 3月28日付けで、金融庁から中小・地域金融機関(地銀・第二地銀・信金・信組)向けの金融再生プログラムである、『リレーションシップバンキングの機能強化に関するアクションプログラム』が公表されましたが、そのなかの「中小企業金融の再生に向けた取組み」のひとつとして、「RCCの中小企業再生型信託等RCCの信託機能を積極的に活用するよう要請する」とされています。その対応策として以下の施策を検討しています。

【中小企業再生型信託スキーム 地域金融機関版の検討】
 昨年10月に公表された『金融再生プログラム』において、「中小企業再生をサポートする仕組みの整備(RCC信託機能の活用スキームの創設)」として位置付けられた施策で、11月22日付けで金融庁と同時に公表したものです。
 同スキームにつきましては、3月末付けで主要行から175先、約3,500億円の再生可能性のある債権を受託して、各主要行と個社別にその再生可能性の追求策の検討を開始したところです。
 地銀、第二地銀等への活用方法については、現在具体的なすり合わせを開始しており、RCCの地域の店舗ネットを活用して幅広く応じていく方針です。

【企業再編ファンド 地域金融機関版の実施、検討】
 3月27日付けで地域金融機関と初の企業再編ファンド型金外信託契約を締結しました。今後、幅広い金融機関層での活用を推進していく予定です。

1) スキームの概要
(1) 金融機関は、再生案件をRCCに持込み。
(2) RCCは、金融機関と投資家で策定した当該企業の再生計画等を検証。
(3) 妥当性が確認できた案件について、RCCは投資家から金外信託契約を締結して買取り資金を受託する。
(4) RCCは、金融機関との間で債権売買契約を締結し、投資家から受託した資金で買取り、投資家とともに再生計画に従って債権放棄等必要な措置の実施やリストラ計画の実行を管理する。
(5) 金融機関は、当該企業の再生可能性を確認したうえで、必要に応じてリファイナンスを行うなどによって当該企業を再生して通常取引に戻る。不可の場合は、回収に移行する。

2) スキームの意義
大手金融機関の案件と比べ、規模が小さい場合や債権者金融機関相互の利害関係が複雑でない場合等に活用。
RCCがフルに関与するのではなく、投資家や金融機関のノウハウとRCCの再生機能を補完的に活用することで、数多くの再生案件への対応を図るもの。


以 上