対外発表 The Resolution and Collection Corporation
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保有債権の流動化・証券化についての基本的な考え方

平成14年12月20日
預金保険機構
株式会社 整理回収機構

 平成14年10月30日付けの「金融再生プログラム」において、整理回収機構(以下「RCC」という。)が保有する債権の回収・売却を加速し、企業再生ファンド等への橋渡しを果たすことにより回収の極大化を図るとともに、当該債権を対象とした証券化の機能を強化することとされたところである。
 これを踏まえ、預金保険機構(以下「預保」という。)及びRCCにおいては、企業再生機能の強化を図りつつ、引き続き迅速かつ効率的な回収に努めるとともに、処分(回収)方法の多様化の一環として、RCC保有債権(預保が保有し、RCCに回収を委託している債権も含む。以下「保有債権」という。)の流動化・証券化について、以下のような基本的な考え方の下、より一層積極的に取り組んでいくこととし、もって我が国不良債権市場の育成等への寄与にも努めていくものとする。


1. 基本的考え方
(1)  預保・RCCにおいて、買い取った債権の回収の極大化を図り、国民負担の最小化を図ることは、最も重要な使命の一つである。
 回収業務を遂行するにあたり、保有債権の流動化・証券化も債権回収の重要な手法の一つであることから、経済合理性の観点からRCCが自ら回収に努めるよりも有利と判断される場合には、今後ともより一層積極的に流動化・証券化の検討を行っていくものとする。
(注)  回収極大化(経済合理性)の判断の際には、当然のことながら、各回収方法の回収見込総額のほか、当該回収に要する時間的要素やコスト面から全体として効率的な回収を検討する必要があることはいうまでもない。
(2)  流動化・証券化の検討を行うにあたっては、各債権の特性、債務者との関係の違い、譲受(予定)者の得意分野その他により、他の債権者等による方がより効率的な資産回収が可能となるケースもあることに十分留意するものとする。
 したがって、例えば、当該債務者の企業再生を目的とした企業再生ファンドやサービサーなどへの売却、預保・RCCにおいて見極めを行った結果今後回収が見込まれない債権の売却などについては、回収極大化の観点を踏まえつつ、積極的に流動化・証券化を検討していくものとする。そして、これにより併せて企業再生の促進や不良債権市場の育成等への寄与に努めるものとする。
(3)  なお、保有債権には、債務者のモラルハザード防止や破綻金融機関の経営者等関係者に対する責任追及の必要性の観点等から、預保の調査権等も活用しつつ厳格な回収に努める必要のあるものもあることにも留意が必要である。


2. 具体的な今後の対応方針
(1)  以上のような基本的考え方を踏まえ、まず預保・RCCにおいて保有債権の見直しを行い、買取り後一定期間内での回収が困難と認められるものなどについては、原則として流動化・証券化の検討を行うものとする。
(2)  かかる具体的検討に際して、当該保有債権にかかる資産調査を実施し、RCCによる今後の回収見込額(「自己評価」額)が以下に定める「外部評価」額を下回ると判断される場合には、積極的に流動化・証券化の対象とする方向で検討する。
(自己評価及び外部評価の手法)
(i)  「自己評価」(=回収価値)とは、回収見込額から回収にかかる経費、金利負担、担保劣化リスク等を控除し、回収までの期間を考慮したDCF法等による合理的に算定される現在価値とする。
(ii)  「外部評価」(=市場価格)とは、外部評価機関等による市場での処分を前提とした評価又は複数業者の入札等による提示価格とする。
(3)  なお、保有債権の流動化・証券化の迅速かつ効率的な実施の観点から、預保・RCCは、各債権の特性に応じたグルーピングや売却方法等の検討にも努めるものとする。


3. 体制強化〜「資産流動化対応室」の設置〜
 以上の基本的考え方及び対応指針に基づき、今後ともより一層積極的に保有債権の流動化・証券化に取り組んでいくため、RCC内に12月18日付けをもって「資産流動化対応室」を設置し、体制強化を図ることとした。
 これにより、保有債権の一元的管理を図り、流動化・証券化も含めたより効率的な回収に努めていくこととする。