対外発表 The Resolution and Collection Corporation
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旧モーガン邸保存の実現について


平成17年9月5日
株式会社整理回収機構

1.  旧モーガン邸とは
 神奈川県藤沢市大鋸に残る昭和初期の洋館「旧モーガン邸」は、旧丸ビルや山手111番館(横浜市指定文化財)の建築で知られるアメリカ人建築家J・H・モーガン(1873〜1937)が1931年に自邸として建設し、妻(日本人)とともに居住した建物である。 
 日本を愛し、日本の文化、生活様式に深い関心と認識を持っていたモーガンが、日本建築の特徴を西洋館に取り入れて設計した同邸は、現在では、専門家から近代建築史的・文化史的に高い評価を得ている。
 しかしながら、旧モーガン邸の所有者が転々と変わり、やがて空屋となり手入れもされないままとなったことから、同邸の存在は世の中から忘れられ、その後は所有者が、敷地とともに旧破綻金融機関である大阪信用組合等に対し、債務の担保として提供していたものであった。
 当社は、大阪信用組合の破綻に伴い、1997年1月に同信組の有する債権とともに旧モーガン邸の建物、敷地に対する担保権を継承した。

2.  モーガン邸保存運動について
 その後1999年になり、建築専門家の調査の結果、モーガン邸が約2000坪ほどの敷地ごと創建時(1931年)のまま現存していることが判明し、地元住民や神奈川県の建築家が中心となって「旧モーガン邸を守る会」を発足させ、地元藤沢市や財団法人日本ナショナルトラスト(以下「ナショナルトラスト」という)に保存への協力を求める運動が熱心に展開された。
 物件の筆頭担保権者である当社に対しても、地元住民や前記の守る会の他、藤沢市やナショナルトラストからもモーガン邸保存のための協力を要請されるに至った。

3.  当社の立場
 当社は公的な債権回収会社として、旧モーガン邸の有する文化財的価値を考慮し、旧モーガン邸保存についての藤沢市、ナショナルトラストからの協力要請に応諾することを決断した。
 当社は2002年10月に藤沢市及びナショナルトラストが表明したモーガン邸の土地建物の取得希望額については、債権回収の極大化を図る責務と反しない限度で、文化財保存の立場を考慮し当該取得希望額を前提とする担保解除金額を最終的に応諾した。

4.  旧モーガン邸保存の実現
 その後、ナショナルトラストによる募金目標の達成が困難を極めたため、当初の予定期間を超過したが、本年8月10日に至り、ナショナルトラストによる募金及び藤沢市からの財政支出(藤沢市土地開発公社による取得)を原資として、旧モーガン邸のナショナルトラスト及び藤沢市による取得が実現し、旧モーガン邸は現地において永久保存されることとなった。
 当社としても、藤沢市やナショナルトラスト、並びに現地で定期的にモーガン邸の清掃活動に従事され、シンポジウムや企画展などを通じて熱心に保存運動に力を尽くされた地元住民や建築学会の方々とともに、今日の結果を喜び合いたいと思う次第である。

5.  当社が文化財保護に協力したその他の事例

霞中庵(かちゅうあん):京都市(平成15年10月取組み)
  日本画家・竹内栖鳳(たけうちせいほう)の別邸 日本庭園

白銀屋(しろがねや):石川県山代温泉(平成17年3月取組み)
  北大路魯山人ゆかりの宿 本館と茶室が国の指定文化財

以上